よくお酒を飲む人は、脂肪が肝臓にたまり、健康診断などで肝機能障害や脂肪肝など肝臓の問題を指摘されることがよくあります。
ところが、お酒を飲まない人でも肝臓に脂肪がたまってしまう非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)という病気があるのをご存知でしょうか?
英語の頭文字をとってNAFLDと呼ばれ、その患者数は近年増加しているといわれています。
この【非アルコール性脂肪性肝疾患】の原因、予防、治療についてご紹介します。
非アルコール性脂肪性肝疾患とは?
「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」とは、ほとんど飲酒をしないのに、超音波やCT、あるいは組織検査で脂肪肝が認められ、脂肪肝の原因となる他の肝臓の病気が否定された状態です。
最近の調査では日本人の29.7%がこの病気にかかっており、日本には2000万人以上の患者がいます。
注目すべき点は、近年この病気の患者が増え続けていることです。
日本では10年間(1994〜2004年)で約3倍も非アルコール性脂肪肝疾患が増加したという研究があります。
メタボ→脂肪肝
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増えている背景には肥満(メタボ)が関係しています。
「メタボリックシンドローム」と呼ばれる病態は、内臓脂肪型肥満(ウエストの周囲径が、男性は85cm以上、女性は90cm以上)に加えて、高血圧(135/85mmHg以上)、高血糖(空腹時110㎎/dl以上)、脂質異常症(中性脂肪150㎎/dl以上、または、HDLコレステロール40㎎/dl未満)のうち2つを合併した状態です。
このメタボ人口はNAFLDの有病率と一致します。
男性では30~40代をピークに60歳までは40%前後と、ほぼ一定で高い割合です。
過剰な脂質の摂取などで内臓に脂肪が蓄積すると、供給される脂質と代謝のバランスがくずれ、過剰な脂肪が肝細胞にが蓄積するのです。
放置すると危ないNAFLD
NAFLDを放置するとどうなるのでしょうか。
肝細胞に脂肪が蓄積しているのが非アルコール性脂肪肝ですが、正常に機能しなくなった肝細胞は炎症を起こしやすい状態になってしまいます。
すると非アルコール性脂肪肝炎に発展し、炎症によって破壊された肝細胞が線維化を起こしてしまいます。
細胞が繊維状の組織に置き換わると、その細胞は元に戻ることはありません。
これが肝硬変という病気です。
肝硬変になると高い確率で肝臓がんになるか肝不全を起こして命に係わる状態になります。
薬では治せない
ある調査によると、医師に対するアンケートで「効く薬がない・薬剤があまり治療に貢献していない」と回答された病気の第5位にNAFLDがランクインしています。
薬剤による治療は今のところあまり効果が期待できないようです。
やはり、非アルコール性脂肪肝を治すには、生活習慣を見直し、適切なダイエットを行うことが必要です。
脂肪肝を撃退する3つのポイント
糖質と脂質の制限
糖質は砂糖を控え、米などの穀類から摂取しましょう。もちろん米も食べ過ぎはいけません。
脂質は肉類、乳製品、マーガリン、サラダ油の摂取を控え、魚を食べましょう。
食物繊維の摂取
消化に時間がかかる(血糖値が急上昇しない)食物繊維を多く摂取することも有効です。
有酸素運動を行う
階段上りやジョギングなどを軽く息が切れる程度の負荷で週5回行いましょう。
いかがでしょうか。薬では治せない脂肪肝ですが、放置すると命に係わることですから、お酒を飲む人も飲まない人も気を付けていきたいものですね。
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